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2019/01/06 16:52:54 ブログカテゴリ 日記 | 書庫 全般
夢の彼方に 73

その日、湯沢陽一は花屋に行き、らんの花を買った。小さなかすみそうも添えた。湯沢陽一と花畑芳野は殆ど付き合いはなかったが、何故か湯沢にとっては初恋の人のように大切な人のように思われてしかたがなかった。花畑芳野はすでに結婚していたから遠い人ではあったが、あの黒い澄んだ目がたまらなかった。花畑芳野が入院している北部聖サナ赤十字病院は名護から本部半島よりにある十階建ての総合病院だった。晩秋の日で肌寒い一日だった。総合案内できくと五階の内科病棟だった。相部屋に二人の患者が入院していた。恐る恐る病室に入った。直ぐに芳野さんは湯沢陽一だと分かりびっくりしていた。かなり痩せてはいたが思っていたより元気だった。本当に久しぶり、お姉さんの初江さんから連絡があったので心配で見舞いに来たと言いらんの花を渡した。湯沢陽一さん、私あなたに会いたかった。今は那覇におられるってねと言い、白い手を差し出した。湯沢は両手でしっかりと芳野さんの手を握りしめた。芳野さんは、いつまた会えるかは知らないが、湯沢陽一さんと名護湾の
浜辺を歩きたいわと言った。湯沢陽一は芳野の詳しい病状は聞かずにお大事にと言い、赤十字病院を後にしたのである。湯沢陽一にとっては、この花畑芳野が何時までも何時までも心に残る女性の一人だった。湯沢陽一は、その赤十字病院をなんども何度も振りかえりながら那覇に向かった。日は西に傾いていた。
つづく


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